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論文要約7「量子コンピューターの現状と可能性」

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量子コンピューターの現状と可能性(藤井)

はじめに
1980年代のファインマンの指摘をきっかけに定式化された量子コンピューターが、近年の技術の発展や大手IT会社の研究への参入により話題となっている。
本稿ではより多くの人の量子コンピューターの認知、理解のために、その歴史、仕組み、未来について説明していく。


1量子コンピューターの歴史
量子コンピューターの原理の基礎となる量子力学1920年頃に構築された。一方で情報科学では、1930~40辺りで計算機の定式化や情報の定量化を経て現在のコンピューターの基礎となる型がつくられた。しかし、人類史上最高の天才と唄われたジョンフォンノイマンでさえ量子コンピューターまでは至らなかった。
その後量子力学情報科学は交わることなく独自の進化を遂げた。
再び交わるきっかけとなったの1980年代の計算機の発熱だ。なぜ計算しているだけなのにエネルギーを消費するのかという疑問に従来の情報科学では答えられなかった。その情報を担っている物理系が現れ、「information is physical」というスローガンのもとで物理と情報の融合が始まった。
1990年代には、従来のコンピューターでは困難な量の計算を全く違う原理で動く量子コンピューターが簡単に解いてしまうことをきっかけにして多くの研究者が興味を示すようになった。
2000年代にはブームは停滞。理論側では難解な問題だけが残り、実験側ではビット数がなかなか増えず、大規模な量子コンピューター実現の難しさが浮き彫りとなった。
再び注目を集めたのは2010年代、カナダが量子コンピューターを商品化した。同時期のJマルチネス超伝導量子ビットによる制御システムのエンジニアリングなGoogleの参入をきっかけにして第二次量子コンピューターブームが巻き起こり現在に至る。


2量子の世界の不思議
量子力学はミクロな世界を記す物理学であり我々を影で支えている。量子コンピューターと従来のコンピューターとの違いをしるには量子力学の知識が多少必要なのでここで解説する。

(a)古典ビットと量子ビット
従来のコンピューターでは0と1の二つで情報を表現しており、どちらかの物理状態でなければならない。
しかし、計算の原理を量子力学に拡張すると、0か1かまだ確定していない"重ね合わせ状態"が許されているため、より一般的な量子ビットによって情報を表現出来る。
電子1つが左右どちらかの箱に入るという究極の状態を仮定する。このときに、イメージしにくいが、どちらの箱に入ったとも言えない状態を"量子ビット"と言う。
量子ビットを従来のコンピューターで記すとどうなるか。
まずどの程度0でどの程度1なのかということを表す複素数a.bを用いて状態ベクトルとして
u=(a,b)とする
0・1と状態のときはそれぞれ
0=(1,0) 1=(0,1) と記される。
また、a.bは複素確率振幅と呼ばれ、曖昧な状態を強制的に0か1にしたときの確率が絶対値の2乗によって決まる。
よって、 a"2+b"2=1 である。
0と1が重なりあった状態は
(1/√2,1/√2) と記される。

(b)量子アルゴリズム
量子ビットが1つだけなら、2つの状態のみだが、Nこあったら2のN乗通りの状態が存在することになる。
量子アルゴリズムは巨大複素ベクトルの確保とそれに対するユニタリ行列(共役複素行列をかけると単位業界になる)により問題を巧みに解けるように設定されている。大きくわけると(i)量子に関係するもの(ii)特定の条件が満たされると量子コンピューターによって高速化されるもの、である。

3量子コンピューターの現状とNISQ
現在の小規模な量子コンピューターでは複雑な構成のアルゴリズムは実行できない。一方で現行の量子コンピューターであっても、従来のコンピューターではシミュレーション出来ない。このような量子コンピューターの優位性実験的に検証する試みは量子超越と呼ばれている。
2019年10月にGoogleが量子超越に到達した。53量子ビットを集積化し高い精度での演算を可能にしたのである。十分高い信頼性が検証された一方で、従来のコンピューターなら1万年かかるとされる計算を数分で完了させてしまった。
このような中・小規模の量子コンピューターはNISQ(Noisy Intermediate Scale Quantum computer)と呼ばれ、有効利用しようとされている。


4まとめ
量子技術は新たなフロンティアである。量子の経験を積み、うまく活用されることが期待される。


「ブログ主より」
量子ビットはただ一通りなのか、程度によって数種類に分けられるのかが疑問として残った。物理学と情報の融合、さらに情報の定量化についてはかなり興味深いのでリサーチを重ねていきたい。


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