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論文要約3「メコンデルタ洪水常襲稲作地域におけるフルダイク化の進展とその影響」

洪水地域であるベトナムのアンジャンを対象に稲3期作のためのフルダイク(輪中堤防)化の影響を調べた。

1はじめに
メコンデルタは米の輸出が盛んなベトナムの米の90%を占める地域であり、気候変動の影響を最も受けやすいと危惧されている。
この地域では3期作をするためにフルダイク(高い堤防)化が施された、過去にこれが環境に与える影響を調査したものは無かったので今回行う。

2調査方法
(a)調査地区の選定と調査方法
対象はベトナム国アンジャン省チャウプー県で2011の洪水を受けたビンタン村とオーロンビ村。決壊の原因、被害状況と補償、2000年の洪水とのチガイを参加型農村調査方により行った。

(b)アンジャン省の概要
カンボジア国境に位置するアンジャン省は洪水常習地域で、毎年雨季後発には水位が上昇するが、上手く土地利用して稲作を行っている。
2008年には右側、2011年には両側がフルダイク化された。

3調査結果
(a)フルダイク化の普及とその問題点
フルダイク化は2001年に始まり、2006年に大きくなり、2011年では全体の80%に及ぶ。
効果
・3期作が可能に
・洪水から守られる
・気候変動によるリスク軽減
問題点
セミダイクに対して費用高い
・洪水によるセディメントの供給が減る
・3期作による周年栽培で害虫増加
・水質低下
・周辺への被害増大
・2011に決壊、安全性への疑問

(b)2011年洪水によるフルダイク決壊
2000年洪水と同程度のものが発生。周辺部及び中心部の数ヶ所が決壊した。

(c)決壊したフルダイク地区の調査
2000年と2011年の洪水について聞き取り調査を行った。
ビンタン村では厚さ不十分によ110ha崩壊
オーロンビ村では最大の被害、住民たちも不安を感じていた。原因は補強の弱さ。
2000年洪水
・洪水はゆっくり襲来
・3期作はまだだったので被害は小さい
2011年洪水
・洪水は急激に襲来
・稲におおきな被害

4周辺地域への影響
(a)キエンジャン省の水域の変化
2000年と2011年を比較。
冠水地域が非冠水地域に変わったことが見てとれる一方で、洪水期間が長引いた地域もある。

(b)周辺地域の洪水位の変化
フルダイク化進展による洪水緩和機能の減少により下流の洪水位を上昇させたと考えられる。
ただし、地球温暖化などの原因も考えられるので、より詳細な調査が必要。

5まとめ
フルダイク化による問題点としてセディナカードの供給不足や害虫の増加、水位上昇などの問題点があげられた。洪水の長期化も起きていた。
今後はこれらをモデル化して分析し、洪水と共存可能な仕組みを検討していきたい。



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