フリーザといっしょ

原著論文をひたすらまとめてます。最高格の教養を。

論文要約21「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行と科学技術コミュニケーション」

21新型コロナウイルス感染症の世界的大流行と科学技術コミュニケーション 1未だ遠い事態の収束 COVID19の規模は歴史に残るレベルで今後アフリカ地域でも増えるらしい。まだまだ気は抜けん。2科学技術コミュニケーション問題としてのCOVID19 感染症は古くから…

論文要約20「計算論的神経科学」その2

6逆モデル獲得のための計算スキーム 逆システムはシステムの入出力を逆にしたもので、これを学習で獲得出来れば理想的な予測制御として使用できる。ダイナミクス、キネマティクスに冗長性があればその逆は1対多の写像となり明らかな不良設定だ。以下逆システ…

論文要約20「計算論的神経科学」その1

20計算論的神経科学(川人) 1はじめに 脳研究には (i)情報処理の計算理論の研究 (ii)(i)のための脳内情報表現とアルゴリズムの研究 (iii)アルゴリズムを実行するハードウェアの研究 の3つのレベルの研究が可能である。 解剖や生化学による脳研究は(iii)から始…

論文要約19「ロボットの原因と責任の帰属」

ロボットの原因と責任の帰属(河合) 1はじめに 人は本人が原因なのにも関わらず 人工物に失敗の原因や責任を帰属させることがある。今後の社会においてロボット際にはこうした心理過程を考慮する必要があるだろう。 本稿ではまず、社会心理学のこれまでの成果…

論文要約18「数理モデルによる網膜神経節細胞のスパイクタイミング解析」

数理モデルによる網膜神経節細胞のスパイクタイミング解析(牧野、神山) 1はじめに 網膜の出力細胞である網膜神経節細胞(RGC)は網膜内神経回路で処理された情報を神経スパイクに変換する働きをもつ。この変換は確率的に開閉するイオンチャネルにより引き起こ…

論文要約17「情報科学の歴史~初期コンピュータのソフトウェア~」後編

3初期コンピュータにおけるプログラムのメディア ツーゼによる計算機Z3はプログラマブルさはあったもののプログラム内蔵型ではなかった。 ABCマシンは電気式という点で現代と同等でありコンピュータの祖先とされている。連立方程式を解くときは、変数の数を…

論文要約16「「印象」はどこから来るか:物理的属性と性格印象の関連性の検討」

「印象」はどこから来るか:物理的属性と性格印象の関連性の検討(作田) 1目的と背景 印象とはなんだろうか。人は様々な対象に対し多感覚的な印象を知覚する。印象に対するこれまでの研究は人に対するものとそれ以外とで別の文脈で行われてきた。 本稿では、…

論文要約17「情報科学の歴史~初期コンピュータのソフトウェア~」前編

情報科学の歴史~初期コンピュータのソフトウェア~(廣野) 1序 まずソフトウェア(software)という言葉の起源について説明する。wareは「◯◯ware」という形で用いられ、◯◯には性質や場所の名前が入り、それを用いた製品であるという意味を持つ。ironwareなら鉄…

論文要約15「宮崎駿にみる身体感覚-体感体験と創造性」~後編~

4考察 (a)特殊な身体感覚・体験感覚 「黒い粉」のエピソードや「黒いどろどろしたものが身体から噴出する」といった発言からは宮崎が特殊な身体感覚を持ち、体験していることが考えられる。それらを繰り返し語ったことから、それだけ強烈な体験だったことが…

論文要約15「宮崎駿にみる身体感覚-体感体験と創造性」~前編~

宮崎駿にみる身体感覚-体感体験と創造性(高橋、松下)1はじめに "千と千尋の神隠し"や"ハウルの動く城"など多くの名作を手掛け世界中から称賛される天才宮崎駿、直接出会った人は彼の作品以上にその人間性に魅力を感じるという。 本論では資料から主に宮崎駿…

論文要約14「場についての論考ーバーナードへの接近ー」

場についての論考ーバーナードへの接近ー(石井) 問題の所在 情報技術の発達によりコミュニケーションツールは急激に進化し、SNSとして我々の生活の1部を担っている。しかし、その十分な機能に反して人々の人間関係に対する不安は解消されていない。これは、…

論文要約13「「書評」現実とは何か:数学・哲学から始まる世界像の転換」

「書評」現実とは何か:数学・哲学から始まる世界像の転換(西郷矢・田口)1行為としての読書と現実 読書とは理解を構築し、現実の認識を変えていく行為である。"本書は「ものの考え方」と「われわれの生き方」の両方に関わる根本原理を探究している"という序章…

論文要約12「レーザー治療おける計算機援用レギュラトリーサイエンス」

レーザー治療における計算機援用レギュラトリーサイエンス(西村、下条、栗津) 1はじめに 平成 28 年 6 月 29 日に発出された通知「レーザ医療機器の承認申請の取扱いについて」によりレーザーメス以外のレーザー装置も臨床不要対象となったことで、費用や時…

論文要約11「ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論とその教育的意義」

ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論とその教育的意義(丸山)1はじめに 本稿の目的はウィトゲンシュタインの言語ゲーム論を教育という観点から読み解くことである。問題は2つ。 1つ目は、言語ゲーム論そのものに対する誤解が多いこと。 2つ目は、ウィトゲンシ…

論文要約10「デジタル教材設計におけるリアルとバーチャルの融合のあり方~「魔法の世紀」を頼りに~」

デジタル教材設計におけるリアルとバーチャルの融合のあり方~「魔法の世紀」を頼りに~(安部) 落合陽一の「魔法の世紀」を受け、デジタル教育について、特にリアルとバーチャルの融合のあり方について考察した。 1背景と目的 (a)テクノロジーの発展と学校教…

論文要約9「手取川上流域における地形特性と土砂移動」

手取川上流域における地形特性と土砂移動(島津)1はじめに 手取川は石川県の白山市にあり、白山山脈を源とした河川。1934年に歴史的な洪水が発生したことは有名。この地域の土砂生産と移動を調査することはその他の土砂崩れたはつ地域の防災力の向上にも繋が…

論文要約8「2018年 7 月豪雨により山口県東部で発生した洪水・土砂災害の特徴」

2018年 7 月豪雨により山口県東部で発生した洪水・土砂災害の特徴1はじめに 2018年7/5~7/8にかけての激しい雨により山口県東部の島田川流域で発生した洪水、土砂災害の概要と浸水地域の土地利用の変遷について報告する。 2豪雨の概要 豪雨の空間的特徴を調…

論文要約7「量子コンピューターの現状と可能性」

量子コンピューターの現状と可能性(藤井)はじめに 1980年代のファインマンの指摘をきっかけに定式化された量子コンピューターが、近年の技術の発展や大手IT会社の研究への参入により話題となっている。 本稿ではより多くの人の量子コンピューターの認知、理…

論文要約6「うつほ物語"蔵開き"と音楽物語」

うつほ物語"蔵開き"と音楽物語(伊藤禎子) 平安時代中期に完成した日本最古の長編物語、全20巻からなるうつほ物語の13~15巻にあたる蔵開きについての論文はじめに 蔵開き以降、仲忠は音楽の道からそれ一族の後継者として学門にも携わるようになり、今後後世…

論文要約5「冬季日本海の現地調査に基づく浅海域への入射長周期波の調査」

冬季日本海の現地調査に基づく浅海域への入射長周期波の調査(中畑、落合、柏原、花山、守屋、関本)1はじめに 近年、浅海域への工学的な問題に長周期波(数十秒から数分サイクルの海面の変動)が深く関わっていることが指摘されている。解決にはこれらの理解及…

論文要約4「電気が見えるデバイス」

電気が見えるデバイス(落合陽一)1はじめに 電子回路を試作する際に用いられる穴の空いた板をブレッドボードといい、電子工作における紙とペンのような働きをしている。 しかしブレッドボードには、電気を作るための機械でありながら電気が見えないという問題…

論文要約3「メコンデルタ洪水常襲稲作地域におけるフルダイク化の進展とその影響」

洪水地域であるベトナムのアンジャンを対象に稲3期作のためのフルダイク(輪中堤防)化の影響を調べた。1はじめに メコンデルタは米の輸出が盛んなベトナムの米の90%を占める地域であり、気候変動の影響を最も受けやすいと危惧されている。 この地域では3期作…

論文要約2「水害対策行動と環境行動に至る心理プロセスと地域差の要因」

水害対策行動と環境行動に至る心理プロセスと地域差の要因1はじめに 1997年河川法改正により河川環境の整備と保全が加わり専門家や住民の意見を取り入れることになった。 水害行動と環境行動への心理プロセスを比較した研究はこれがはじめて。 流域住民が問…

論文要約1「土地利用モデルの歴史と概念」

土地利用をモデル化し数学的に認識して表現する。その骨格となるのは都市内部の相互関係への計量的アプローチ。(1)グラビティモデル ある消費地に対しどれだけ人が引き寄せられるか。空間相互作用の表現は交通モデルで発達。時間や交通費用など様々な指標に…