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論文要約9「手取川上流域における地形特性と土砂移動」

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手取川上流域における地形特性と土砂移動(島津)

1はじめに
手取川は石川県の白山市にあり、白山山脈を源とした河川。1934年に歴史的な洪水が発生したことは有名。この地域の土砂生産と移動を調査することはその他の土砂崩れたはつ地域の防災力の向上にも繋がる。また、1934洪水の被害にはダムの決壊も関与している。本稿では土砂移動の特性を明らかにする研究の一環として、手取川上流で算出された地形特性値と1934水害での堆積物を比較し、天然ダムの決壊が関与したとされる1934水害の土砂移動の仮定を推定することを目的とする。


2手取川上流域の地形・地質
上流域の標高は高く、流れは急で地滑りや崩壊をよくおこしている。また、白山は活火山。
地質は赤岩層と明谷層からなる。


3地形計測からみた手取川上流の地形特性と土砂移動
地形特性として流域は標高の高い平地に分布しているため起伏が小さい。この地形が日本の平均的な山地に近づくと仮定すると、今後平坦な地形は地滑りや崩壊によって起伏が増大していくことが予想される。
地形特性については調査結果から次のような推定がなされた。
最上流部の白山周辺は平坦な地形が広がるものの今後崩壊や地滑りが進んでいく。源流付近で発生した土石流は勾配が緩くなる一ノ瀬付近の区間に堆積。支流からの土石流の本流への流入は、大きな河川では起こらないが小さな河川では起こる。


4 1934水害の土砂移動
上記の推定と比較する。1934水害における土砂の移動は次のように推定される。
細谷川、湯の川では崩壊が起こり岩塊を含む大量の土砂が河川に流入した。状況から、土石流の状態で土砂が運搬されたと考えられる。それらは一ノ瀬付近で堆積し、河床を上昇させた。一方で宮谷川流域からも本流に土砂が流域し、大きさの昇順に標高の高い位置に堆積された。風嵐付近の堆積物は少なかったと推定される。


5巨大岩石の運搬様式と河床勾配
宮谷川からの巨大岩石の運搬様式と地形計測結果との関係について判断する。
調査から1934水害では、堆積物の再移動や崩壊に起因する土石流の流入とは異なった様式での土砂の堆積、運搬があったと予想される。
状況から、巨大岩石が緩い勾配の領域まで流れてきたのはダムの決壊によるものと推定された。したがって手取川上流での土砂の運搬にはダムの決壊が重要な要因としてあげられるだろう。


6今後の課題
まだ解明されていない巨大ダムの規模や位置について調べていきたい。

「ブログ主より」
ダムの決壊というコナンでありがちな悪の匂い大好き

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