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論文要約12「レーザー治療おける計算機援用レギュラトリーサイエンス」

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レーザー治療における計算機援用レギュラトリーサイエンス(西村、下条、栗津)


1はじめに
平成 28 年 6 月 29 日に発出された通知「レーザ医療機器の承認申請の取扱いについて」によりレーザーメス以外のレーザー装置も臨床不要対象となったことで、費用や時間コストが軽減された。
しかしレーザー治療の発展はかなり遅れており、その理由の1つとして承認基準の不明瞭が挙げられる。本稿ではその基準について述べる。


2臨床不要通知の改定
臨床不要になったとはいえ、既承認装置との同等性評価には試験や動物実験が残されているので、発展遅延の原因が無くなったとは言いがたい。以下では臨床不要通知の有効化への課題を列挙する。
・「使用目的及び作用原理が同一」の評価指標で、安全性の基準については、レーザー光と生体組織の相互作用により生じる副作用に数値的な基準を設けるべき。
・「既承認品との同等性」の評価指標について、レーザー装置の仕様が従来のそれと同等かという審査になっているので、本来の治療性能で同等性を評価すべき。
・「波長の組織選択性」の可否について、組織選択性を利用しているかの判断基準を定性的なものではなく、組織ごとにエネルギーを用いた定量的なものにするべき。
・「既承認品との差分」の評価指標については、その判断を定性的なものに委ねてしまっていることが課題として残っている。
・実際の運用状況との乖離について、これまではエビデンスは統計データによるものだったが、作用の物理化学生物的なプロセスによるものにすべき。


3計算機援用レギュラトリーサイエンス
医療機器への安全性、有効性の評価の迅速化は機器開発共通の課題である。そんな中近年第3の試験として、シミュレーションを活用した評価、判断の枠組み(計算機援用レギュラトリーサイエンス)が推奨されており、薬理作用を分子、組織、細胞、個体と段階的な数理モデルを構築しシミュレーションにより治療効果を評価する。これはコストの軽減と根拠の明確化をもたらし、また、実測困難なものに対してもモデルによるシミュレーションによるアプローチが可能である。


4レーザー治療におけるレギュラトリーサイエンス
レーザー治療では,レーザー光による直接的な作用は照射領域しか起こらず,その過程は領域を限定して考えることができる。光熱変換などの線形プロセスについてはモデル化や検証が行われている一方で、超短パルス(幅がめちゃくちゃ小さい)レーザーについてはその物理モデルが不明瞭である。
現状では機械的作用や恒常性維持機構などもモデル構築は実現しておらず、臨床試験の代替には程遠い。しかし実現されればレーザー治療機器の大きな進歩へとつながるだろう。


5超短パルスレーザーによる安全性の評価
過去に既承認機器2つを利用してシミュレーションを行ったところ、その正確さと拡張性が確認された。
その一方で信頼性の獲得の必要性も浮き彫りとなった。


6計算機援用レギュラトリーサイエンスの今後の展望
課題は以下の3点
・時間的な数理モデルの確立
数理モデルの精度評価
・パラメーターデータベースの整備


7まとめ
ムーンショットを推進する新たな事業の目標の1つである「生命現象のデジタルモデル化とその制御」実現のために計算機援用レギュラトリーサイエンスが実現することを願う。また、直近の課題にも共感していただければ幸いである。

「ブログ主より」
あまりに最先端かつ専門的だったため詳細は避け概要を掴むだけに留まってしまった。今後も最新の研究論文を読み込んで自身の強化に勤めていきたい。

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